1. 残業代の未払いは犯罪行為です。残業代請求を遠慮する必要はありません。
  2. 会社と裁判になったら再就職で不利になったなどという話は聞いたことがありません。
  3. 退職してからでも残業代の請求は可能です。
  4. 固定残業代、裁量労働制、変形労働時間制、事業場外みなし、年俸制etcほとんど無効です。
  5. 証拠の集め方も弁護士が指導しますので、まずは相談ください。
  6. 交渉や労働審判で早期に十分な水準での解決を目指します。

残業代の未払いは犯罪行為です。残業代請求を遠慮する必要はありません。

残業代の不払いは犯罪行為です。残業するのは仕事が遅いからだ、うちは残業代込みだとか、残業代を支払わないことを正当化する言動をする使用者は珍しくありませんが、残業代の不払いは犯罪行為です。犯罪者の戯言に耳を傾ける必要など一切ありません。同種の被害者を出させないためにも、残業代はきっちり請求しましょう。

会社と裁判になったら再就職で不利になったなどという話は聞いたことがありません。

よく、心配されるのが、「うちの業界は狭いから・・・裁判なんてしたら、再就職に差し支えるのではないでしょうか?」というものです。
しかし、従業員と揉めたなんて話が広まってしまえば、ブラック企業という評判が立って採用活動に支障が生じかねませんし、現在の従業員からも「やっぱり、うちの会社のコンプライアンスはめちゃくちゃだよな、なんかあったら俺も訴えようかな」ということになり、訴訟リスクが増大します。
和解の際に会社側はほぼ必ず紛争については第三者に口外しない旨の条項(非口外条項といいます。)を入れるよう要求してきます。自ら絶対広めないでくれと要求してくるのですから、会社が言いふらすなどということはまずありませんし、私の過去の依頼者で、和解後に裁判になったことについて会社の方から情報が漏れて、再就職に支障が生じたという話は聞いたことがありませんので、心配する必要はほぼありません。

退職してからでも残業代の請求は可能です。

残業代の時効は2年です(法改正により延長が議論されていますが)。いつから2年かといいますと、支払日から2年となります。例えば、毎月末締め翌10日払いだとすると、毎月9日までは2年前の前月分まで請求可能ということになります。退職してからでも過去2年分は請求可能となります。
なお、残業代の請求を裁判所の手続き外で行っておくと、時効は6か月間とまり、その間に交渉をし、交渉が決裂した場合には6か月以内に裁判手続きをすれば時効は成立しません。そこで、退職することを決意したら、すぐに残業代を請求をしておきましょう。その際には請求したことが形に残るようにメールなどで行った方がよいですが、細かい計算などは不要ですので、残業代を支払って欲しいことを記載しておけば足ります。
もちろん、退職の予定がなくても残業代請求はできます。一人で戦うのが難しいというのであれば、私は労働組合とも連携しておりますので、労働組合を紹介することも可能です。労働組合に加入している労働者への嫌がらせは違法行為になってしまうため、会社も手を出しにくくなります。

固定残業代、裁量労働制、変形労働時間制、事業場外みなし、年俸制etcほとんど無効です。

まず、固定残業代は就業規則や雇用契約にいくらが固定残業代なのか明記する必要がありますし、固定残業代分を超過して残業代が発生していれば超過分を清算しなければなりません。しかしながら、そのような固定残業代の要件をしっかりと運用している企業はかなり稀ですので、ほとんどの場合無効です。
専門職の裁量労働制は労働者に労働時間に関する裁量が与えられている場合には労働時間規制を及ぼす必要がないため残業代の支払いを免除するものです。しかし、ほとんどの場合、仕事の進め方はともかく、仕事の量について労働者に裁量があるということはありませんので、労働時間の裁量があるということは稀です。そのため、裁量労働制の要件を満たさないとして無効となることがほとんどです。
事業場外のみなし労働時間制も、労働時間の管理が困難であるため残業代の支払いが不要とされていますが、営業報告書や携帯通信機器によって現在では労働時間を管理するのが困難というのは通常考え難い状況になっています。そのため、会社に出社することがほとんどない旅行添乗員などの事案ですら残業代の不払いは違法とされています。外回りの仕事でも会社に帰社して営業報告したり、車両や器具や商品を会社にを返却するような形態での勤務であれば事業場外みなし労働時間制が認められることはありません。
変形労働時間制は、有効に運用するためには細かい手続きをちゃんとクリアする必要がありますし、そもそも変形労働時間は、季節や曜日によって繁閑の差が激しく暇な時期は8時間働く必要がないという職場で閑散期の所定労働時間を1~2時間削って、その分繁忙期に残業代を発生させずに多く働かせられるという制度です。恒常的に8時間を超えて仕事をしているような職場では意味のある制度ではなく、残業代の発生を削減する効果は基本的にありません。
年俸制も残業代を支払わない理由には全くなりません。

証拠の集め方も弁護士が指導しますので、まずは相談ください。

労働時間の立証責任は残業代を請求する労働者側にありますので、労働時間の証拠は労働者側で集める必要があります。証拠として、残業代の証拠で一番確実なのが、タイムカードです。しかしそれだけでなく、入退館記録、営業日報、メールの送受信履歴、スイカの履歴、(家族等への)これから帰宅する旨のライン、GPSの記録などがあります。
仮に、これらの証拠が全くなかったとしても、そもそも、使用者には労働時間を把握する義務があり、これを怠ったことにより労働者が不利益を受けるのは不合理です。そのため、一部であっても客観的な資料があれば、残業時間については推定するという裁判例もありますので、あきらめる必要は全くありません。

交渉や労働審判で早期に十分な水準での解決を目指します。

労働審判の場合少なからずの事案で早期解決のために譲歩を求められることが多いと言われています。しかし、当事務所は単なる早期解決ではなく、裁判で争った場合と同等の水準での早期解決を目指します。
正式裁判でも、多くの事案で休憩時間や早出残業は認められない傾向にありますが、当事務所では正式裁判になった場合の落としどころを踏まえた計算を予め行い、和解の際に計算を提示することで、裁判と変わらない水準で早期解決ができています。

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