Q コロナから回復したのに使用者が復職を拒んまれている場合どうなるのでしょうか?どのような判断基準で復職を判断するのかや、復職の判断基準を満たしているのに、復職を拒んだ場合、給料等が支払われるのか、会社との話し合いや他に使える制度はうないのでしょうか?

復職の判断基準について

厚生労働省は、新型コロナに関する就業制限について、通達(健感発 0218 第 3号 令和2年2月 18 日)で解熱から48時間後から2回(2回目は12時間間隔をおいて)PCR検査を行って、陰性の場合は退院とし、就業も可能としています。症状のない陽性者の場合は、12.5日待機して、同様に2回PCR検査を行うとしています。

厚生労働省の通達は必ずしも裁判所を拘束するわけではありませんが、ほとんどの場合はこれに従って判断することになります。そのため、裁判になった場合、当該基準で判断されることになり、厚生労働省の基準をクリアしているのに、復職を拒んだ場合は、会社の勝手な判断で自宅待機させているということになると思われます。

復職の基準を満たしたのに復職させない場合の給料がどうなるか

当該基準を無視して、就業を拒んだ場合は、会社の独自の判断による自宅待機命令ですので、会社が給料の支払いを免れることはありません。

もっとも、再発による他の労働者や関係者に感染させるリスクも完全には否定できないところですので、在宅勤務なども含めて会社側と話し合うべきでしょう。

なお、会社側が労働者の要望を中々聞いてくれない場合は時間がかかることが予想されますので、傷病手当金の利用も並行して検討すべきかと思います。病欠4日目を以降については傷病手当金という制度でで平均賃金の3分の2は健康保険から支給されます。当該制度の利用も検討すべきかと思います。

また、職場や通勤で感染したと予想される場合は労災も検討すべきでしょう。

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このコラムの監修者

  • 増田 崇弁護士
  • 増田崇法律事務所

    増田 崇弁護士(第二東京弁護士会所属)

    2010年に増田崇法律事務所を設立。労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積み、時には講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもある。2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%である。