Q うつ病で会社へ行くのが毎日辛くてたまりません。退職しようかと迷っているのですが、本当に正しい選択なのか、不安です。検討すべきポイントをお教えてください。

A 場合分けしながら、以下で解説していきます。

大原則は、病気の間は退職などの大きな意思決定はしないということです。

なぜかと言いますと、あなたが仕事が辛いのは、仕事が過酷だからではなくて、病気の結果、気力体力が低下したために一時的に仕事の負担に耐えられないだけという可能性もあるからです。うつ病をはじめとした精神疾患の一般的症状として、自信の喪失が挙げられます。あなたが、仕事を続けられないと考えるのは病気の症状であって、病気が治れば元通り働けるようになるということはよくあります。

あなたが辛い真の原因が病気だからであって、仕事が真の原因でないとすれば、やるべきことは原因である病気を治すことです。体調を悪化させないために一時的に休むのは積極的に行うべきですが、真の原因でない仕事を退職しても、根本的な解決にはなりません。今仕事が原因だとあなたが思ったとしても、本当のところ、仕事と病気どちらが真の原因だったのかは、病気が治ってみなければ確定的なことは言えないのです。

退職するのはいつでも可能ですが、一度退職してしまえば、元に戻ることは基本的にできません。一時的に休むのであれば後戻りできますが、退職は後戻りできない人生の決断となります。本当に仕事が原因ではないと治ってみるまで分からないのですから、選択肢はなるべくぎりぎりまで手放さないと言うのが人生でもゲームでも鉄則です。

退職を選択すべきときもあります

もっとも、明らかに職場に問題があるという場合もあります。例えば、恒常的に80時間を超える残業などの長時間労働が続いている、毎週のように罵声を浴びせられる、重大な違法行為が蔓延している、などです。明らかに職場に問題があり、しかもそれが一時的な問題ではなく恒常化しているのであれば、早めに退職の決断をするというのも間違いではありません。

今の仕事があなたのやりたいこと夢の仕事であったとしても、上記のような度を超えた状況が恒常的にあるのであれば、あなたの心と体がもう限界だと言っているのかもしれません。そのような場合は早めに退職して、心機一転というのも誤りではないと思います。

一方で、職場に問題があったとしても、単にその部署やたまたま当たった上司個人の問題である、もしくは担当したプロジェクトがこじれて一時的に異常に負荷が高まったという場合は、ゆっくり休んで体調が回復した時点で、今後どうするかを考えるというのが得策でしょう。

辛いならまずは休職です。早めの休職を考えましょう

精神疾患で無理して働き続けると、却ってこじらせてしまう可能性が高いです。私が見てきた事案でも、発症してから、長年体調不良をおして働き続けて、悪化させてしまったというパターンを多数見ています。

あなたが、仕事に行くのが辛くて辛くてという状態なのであれば、医学的に見て働き続けられる状況ではない可能性が高いと思います。医師と相談した上で、思い切って休むことが、長い目で見ると、問題を最小の被害で切り抜ける上で重要です。

また、適応障害などの神経症と言われる比較的軽い症状であれば1~2週間仕事のストレスから離れるだけでも、劇的に改善することもあります。

生活費はとりあえず何とかなることが多いです

生活費については、別のページで詳しく解説しますが、国保以外の健康保険に加入していればまずは傷病手当金が受給できます。金額は6割なので十分とは言えませんが、所得税や住民税はかからないので、手取りで比較すればそれなりの金額になります。最後の手段として生活保護もありますし、自分の健康を犠牲にしてまで無理して働く必然性はありません。

→生活費確保について詳細はこちら

生活費の確保についてお悩みの方へ

労災の申請は急ぐ必要はありませんが、証拠の確保は早いにこしたことはありません

労災の休業補償(給料の補償)の時効は2年ですので、休職するかの段階では焦る必要はありません。しかし、休職してしまうと、パソコンのデータやタイムカードなどにはアクセスできなくなる可能性がありますし、パソコンの動作記録(ログ)は日々消えてしまうので、労災申請したいということであれば、メール等のデータを個人の媒体に保存しておくと言ったことは、休職する前にしておいた方がよいです。

→労災申請をお考えの方はこちらもご覧ください

労災申請・損害賠償請求

→解雇・退職勧奨についてはこちらもご覧ください。

解雇・退職勧奨

このコラムの監修者

  • 増田 崇弁護士
  • 増田崇法律事務所

    増田 崇弁護士(第二東京弁護士会所属)

    2010年に増田崇法律事務所を設立。労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積み、時には講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもある。2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%である。