私は労働者側の弁護士として日々活動していますが、他方で、一人だけとはいえ従業員を雇っており、使用者でもあるという、よくよく考えると矛盾した立場にあります。

零細使用者であり労働弁護士として日々感じるのは日本の法制度や裁判実務が悪徳経営者が得をし、正直者の経営者が損をするように作られているということです。

たとえば残業代の問題では、残業代の時効が2年間であること、使用者に労働時間の把握義務があるにもかかわらず、この義務を誠実に履行していない使用者が証拠がないとして救済されてしまいます。

また、パワハラでやめざるを得なくなったとしても、暴行などの刑法犯にあたるような行為でも数十万円の慰謝料が認められてそれでおしまいです。辞めざるを得なかったというところは、現在の裁判所では損害として認められていません。使用者はたった数十万円で労働者を追い出すことに成功しますが、労働者は仮に訴訟に勝ったとしても職探しをしている間の生活費としてすぐになくなってしまい、焼け石に水となってしまいます。

裁判所は、やったもん勝ちになっている実情をもっと直視すべきです。