アディーレ法律事務所の業務停止についてご相談承っております。

昨日、東京弁護士会が、アディーレー法律事務所に対して、2か月間の業務停止としました。

アディーレ法律事務所などの大量に広告を行い、主に個人を相手とした法律事務所(弁護士業界では「カタカナ系事務所」などと呼ばれていました。もとより、カタカナの名称の法律事務所の全てが問題なわけではなく、むしろしっかりとした事件処理をしている事務所がほとんどだと思います。)に関しては、大量処理を最優先として依頼者の意思を十分に確認せずに、依頼者の利益の最大化ではなく、低額の解決金でも依頼者を無理やり説得して弁護士の側の効率を上げるために低額の和解を飲むよう強引に依頼者を説得するなどの対応をしている、弁護士と連絡がつかないなどの事件処理のずさんさをめぐって苦情があり、かねてから弁護士業界内では問題となっていました。

訴訟提起せずに和解で解決できれば、依頼者の負担も小さく済みますが、弁護士側にとっても時間単価を上げるという側面からは極めてメリットがあります。なぜなら、たとえ、裁判をやって1年前後争った場合には、弁護士は通常数十時間は当該事件に費やすことになります。仮に50時間費やして100万円の報酬をもらった場合、時給は2万円となります。一方、訴訟提起前の和解であれば数時間程度のことが多いため、仮に費やした時間が5時間、獲得金額が半額で報酬も半額の50万円だったとしても時間単価は5倍の10万円になります。そのため、広告で大量に依頼者を集めるノウハウを有している事務所にとっては、まじめに事件を処理して相手方や裁判所を説得するよりも、依頼者をこのくらいが相場ですよなどと説得した方が効率が良いということになりがちなのです(もちろん、依頼者が解決水準を犠牲にしてでも早期解決を望むことはあり、そのような場合は問題ありません。)。

私はかかる事態をかねてから、憂慮しており、弁護過誤訴訟等を含めて、業界の浄化を勧める活動してまいりました。

なぜなら、権利は権利を主張するものがいて初めて守られるのです。このようないい加減な処理が蔓延すれば、そのような不誠実な事務所に依頼してしまった人が不利益を被るだけでなく、裁判所や社会全体の権利保護が落ちて行ってしまいます。もちろん、弁護士業界もまじめに仕事をするものが損をするということになってしまいますし、業界全体への信頼も落ちてしまいます。

今回、当事務所では業務停止に伴い、アディーレ法律事務所に労働事件を依頼していた方の相談を承っております。

なお、当事務所では、同様の呼びかけをしている事務所のように、アディーレに依頼している事件のみの相談ではなく、ご希望があれば、アディーレ法律事務所等の事件処理の問題点についてご相談を受けております。

なお、当事務所では労働事件の相談は基本的に無料ですが、労働事件の相談を伴わない弁護過誤のみの相談の場合は、30分5000円の相談料を頂戴しております。予約の際の5分程度の電話無料相談で相談料をお願いするかはご案内しております。

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このコラムの監修者

  • 増田 崇弁護士
  • 増田崇法律事務所

    増田 崇弁護士(第二東京弁護士会所属)

    2010年に増田崇法律事務所を設立。労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積み、時には講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもある。2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%である。