精神科等への通院をせずに自殺された事案、特に家族と同居していない場合には、精神疾患へのり患を示す証拠が乏しいことはままあります。

しかし、希死念慮(自殺欲求)は、精神疾患の症状の一つですので、通常、自殺された事案で精神疾患の発症が否定され(精神疾患にり患していないとすると、自分の意思での自殺となり労災とは言えないと判断となる。)ることはあまりありません。

それでも、たまに精神疾患の発症を否定する裁判例が見られました。

この点に関して、大阪高裁平成29年9月29日判決が、明確に判断していますので、今後参考になると思います。

同判決は、精神障害等の労災認定に係る専門検討会報告書、黒木宣夫医師の厚生労働省委託研究「自殺に関して」、「仕事・職場の問題が自殺に与える影響」、飛鳥井医師の「自殺の危険因子としての精神障害」等を引用した上で

「これらの事実によれば、自殺者が精神疾患に」り患していると認定しています。