Q 会社とトラブルになっていて、弁護士を探しています。弁護士は医師と違って、いろんな事件をやる方が多いと聞きます。しかし、私としては自分の一生がかかった事件ですし、労働事件のプロフェッショナルの弁護士に依頼したいと思っています。自己紹介などを見ますと労働事件に力を入れているのは間違いなさそうだとは思いましたが、専門という理解でいいでしょうか?

 

A 私は、ホームページ上で労働問題専門とか労働問題のプロの弁護士と自称していません。もっとも、同業者間の交流の場で自己紹介する際や、一般市民の方から専門を聞かれた際に、労働事件が専門であると回答することはあります。しかし、これはあくまでそのような広告を主たる目的としない場での話であり、以下の理由でホームページなどで労働事件の専門と自称していませんし、するつもりもありません。私が、労働事件の専門家かどうかは、以下で説明する私のこれまでの実績から皆様がご判断いただければと思います。

 

ほとんどの弁護士はホームページなどで専門とは自称していません。これは、日弁連が出している業務広告に関する指針で、専門という表示を控えるべきだとされているためです。弁護士に関しては、医師と異なり公的な専門の認証制度がなく、その経験能力のについて客観性が担保されないまま専門の表示をすることは誤解を生じかねないからです。

このような規定があるため、先ほど述べたように、ほとんどの弁護士は、交通事故(離婚、相続、労働、刑事etc)専門ページ(単にそのホームページが当該分野に特化したページであるというだけの意味ですが、紛らわしいですよね。)と書くことはあっても、●●専門事務所や専門弁護士とは表示していません。私も、同業者や一般市民との方との社会生活を行っていく上での付き合いの場など広告を主たる目的としない場(このような場は広告ではないので広告規定は適用されません。)では労働事件専門と自称することはありますが、ホームページ上で労働事件専門と自称するつもりはありません。

 

なお、ホームページなど広告を主たる目的としている場以外では自称することがあると言いましたが、自称する根拠は次の通りです。

 

①2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%

労働事件以外の受任を拒絶しているわけではなく、手持ち事件には労働事件以外の事件もありますが、年々労働事件の比率が高まり(事務所立ち上げ当初は5~6割でした。)、2019年の新規受任事件に限りますとすべて労働事件でした。なお、刑事事件は取り扱っており、知的・精神障害と関連する分野の情状弁護(メンタルヘルスつながりで障碍者の刑事事件は私が注力している分野です。)ではそれなりの成果もあげていると自負していますが、年に1~3件でそれほど多いわけではなく、ほぼ労働問題だけをしている弁護士です。

私は、労働弁護団など労働事件を熱心に取り扱う同業者のつながりも比較的ある方ですが、100%はもちろん70%を超えるという方もほとんど聞いたことがありません。圧倒的と言って過言ではないと思います。ただし、割合は私よりも低いが、取り扱い事件数が非常に多いため、労働事件の件数では私と同程度もしくはそれ以上という弁護士はまれですがいます。

②労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積んでいますし、時には、講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもしています。

③最高裁判例の獲得はありませんが重要な裁判例(東京地裁立川支部平成29年1月31日労判1156号マタハラ解雇事件)を獲得していますし、労災案件ではNHKスペシャルなどで取り上げられた社会的に大きな反響を呼んだ事件も担当しています。

 

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このコラムの監修者

  • 増田 崇弁護士
  • 増田崇法律事務所

    増田 崇弁護士(第二東京弁護士会所属)

    2010年に増田崇法律事務所を設立。労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積み、時には講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもある。2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%である。