入社後3年以内に退職する場合には新入社員研修の費用を支払わせるとの違法無効な契約について、労基法違反で告訴し、記者会見しました。

3年以内に退職したら新入社員研修の費用を支払わせるとの契約を入社後に締結させて、退職後に訴訟提起してきたという事件で、株式会社システムアート及び代表者の砂川昇健らを告訴し、記者会見をしてきました。

研修は基本的に会社の業務に必要だからやるものですし、必要なければやらなければいいのですから、会社が負担するのが筋で労働者に負担を負わせるなど筋違いです。

このような、やり方は労働者の退職の自由を不当に制限するもので、戦前には、売春業者や炭鉱等でのタコ部屋労働で濫用されていました。そのため、戦後にできた労働基準法では損害賠償の予定を定めることは禁止されました。

しかも、関連会社のジェイスクールが外部向けに行う提供している類似する研修である入門コース+実践コースを51万円8700円で提供しているのに対して自社の社員にはそれを大きく上回る90万円を請求するなど(注参照)、労働者を搾取する手口は、戦前の女郎屋を彷彿とする手口で極めて悪質なものです。

現在、若者の減少などで、待遇の悪い業界で人手不足感が高まっており、このような違法な囲い込みが頻発しています。当事務所でも、不当な人権侵害のない社会に向けて微力ながらお手伝いしていきたいと思います。

注:社内向けの研修は入門コース+実践コースの科目をほぼ包含し、さらに含まれていない科目も組み込まれており、受講時間も入門コース+実践コースが400時間を上回る480時間のため、単純に比較対象として1.7倍というのは相当でないものの)

http://mainichi.jp/articles/20151211/ddm/012/040/048000c

このコラムの監修者

  • 増田 崇弁護士
  • 増田崇法律事務所

    増田 崇弁護士(第二東京弁護士会所属)

    2010年に増田崇法律事務所を設立。労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積み、時には講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもある。2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%である。