1時間程度しばらく前ですが、高級ブランド品の輸入商社のシステム担当者の労災認定を得ました。

Aさんは、別の事務所に依頼し、会社との示談交渉を行っていましたが、労災についてはよくわからないということで、インターネットで私のところに相談にいらっしゃいました。

Aさんは、事務の仕事などをしていたのですが、システムのリニューアルの作業を担当するようになり、リニューアルの直前は、1か月程度、夕方には帰宅するものの、帰宅後も毎晩明け方まで持ち帰り残業をする状況となっていました。その結果、1日2~3時間の睡眠と風呂、弁当を食べるなどの最低限の家事1時間程度を除いて、すべて仕事という状況でした。

Aさんは、当初依頼していた弁護士は会社の提示額が安すぎると渋っていたものの、将来休業給付が得られることを考えればぎりぎり許容範囲との私のアドバイスもあり、かなり金額面では譲歩した代わりに、持ち帰り残業については認める旨を明記した合意書を作成し会社との関係を解決しました。その結果、持ち帰り残業が無事認められ労災認定となりました。

持ち帰り残業は、なにがしか業務を行っていること自体はメールなどにより認められたとしても、それが使用者の指示によるものかわからないこと、メールを発信した時点で仕事をしているのは分かっても、自宅だと睡眠や家事や娯楽をしている可能性も否定できず、どこまで継続したかはよくわからないとして(点として労働は認められても、線とは認められないとして)、なかなか労働時間として認められないことが多数ありますが、本件では会社との早期和解したことで早期の和解を行ったことにより、スムーズな認定となりました。

このコラムの監修者

  • 増田 崇弁護士
  • 増田崇法律事務所

    増田 崇弁護士(第二東京弁護士会所属)

    2010年に増田崇法律事務所を設立。労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積み、時には講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもある。2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%である。