一般的な事務所だと・・・

紹介者があるとか、既に別件を依頼しているというような場合を除いて、電話相談お断りというのが弁護士業界ではむしろスタンダードですが、当事務所ではこれまで全くお付き合いのない方からの電話でのお問い合わせでも、弁護士が直接対応し、短時間ですが、お話を伺っています。

弁護士が売っている商品は知識です。ですから,知らない人からの相談が突然電話で来ることについて,無料で相談をするのは筋として違うから,お断りというのが普通です。私は10分程度が限度ですが無料で相談していただいて構いません,遠慮なくお電話ください。と言いますか,むしろ,面談の前にまず,ご一報お電話ください。

お電話をお願いする理由は次のようなものです。

まず,電話の後に面談するにしても,事前にご連絡いただければ,持ってきていただきたい書類を自宅においてきてしまったという事態を防げます。持ってきて欲しい書類が揃っているのと,揃っていないのでは行えるアドバイスが全く変わってきます。相談を効率的に進めることができます。

また,簡単なアドバイスで解決する問題や,弁護士を通じた法的な解決になじまないことが(ご本人にとってはともかく)弁護士からみれば明白な事案であれば,前もって電話していただければ、その段階で相談は終了します(もちろん、結論的に弁護士への依頼になじまないというだけでなく、本格的な相談になじまないのはなぜなのかの理由も説明しております。)。お互いにわざわざ時間を作ってということをせずに済みます。この場合私はただ働きになってしまいますが,数分程度の相談であれば,皆様の悩みにお力になれたという満足感が報酬ということで私は構いません。

特に、労働問題の場合、弁護士を通じた交渉以外にも、労働基準監督署や労働組合など多様な解決方法がありますので、弁護士に依頼する以外の解決方法をお勧めすることが珍しくありません。

初回の電話は本格的な相談を受けるわけではありません

電話をお願いするのは,このように,面談して本格的に法的手続きを検討していくような案件か否かの区分けと,面談を充実させるための準備として行うものです。弁護士は裁判所や関係者との打ち合わせや締め切りが迫った書類の作成で多忙を極めているのが通常です。暇をもてあましているということはほぼありません。そのため,突然の電話で話を聞けるのは10分程度が限界でゆっくりとあなたの言いたいことを聞くということは不可能であることはご理解ください(面談での法律相談を受けた場合や、正式に依頼されている場合は勿論別で、相応の時間をかけてお話を伺います。)。また、弁護士は常に事務所にいるわけではなく、裁判所への出頭など、外出も多い仕事ですので、折り返しになることも多いことはご理解ください。

 

このコラムの監修者

  • 増田 崇弁護士
  • 増田崇法律事務所

    増田 崇弁護士(第二東京弁護士会所属)

    2010年に増田崇法律事務所を設立。労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積み、時には講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもある。2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%である。