過労死弁護団の勉強会に参加しました。

当職も長年メンバーとなっている過労死弁護団は労働問題の中でも専門性の高い分野である過労死・過労自殺問題及び死亡に至らない脳心臓疾患や精神疾患の労災及び損害賠償を扱う弁護士の専門家が集まる場で、年2回の春と秋に全国集会が開かれますが、今年も4月6日に東京での春の拡大幹事会があり、当職も参加してきました。
毎回、最新の成果や、問題と思われる行政や裁判所の判断、過重労働問題の啓蒙運動に関する課題に加えて、特集テーマを決めて勉強会をしています(医師や労働経済学者などが定番)。今年はSEによる業務データの収集についての解説がありました。

タイムカードがない、若しくは機能していない会社にお勤めでも、勤務時間を立証できる可能性があります。

グーグルマップのタイムラインを見ましたら、自分の過去行った場所時刻などが全て記録されていました。いろいろ問題はありそうだとも思いましたが、労働問題という側面から言えば、タイムカードがない若しくは機能していない会社の方は是非、スマホのGPS機能はオンにしておくことをお勧めします。ちなみに、私のグーグルマップのタイムラインを見たところ、1年程前にスマホに切り替えた時期から(それ以前は、ガラケーとキンドルを持ち歩いていたのですが、その期間は記録は残っていませんでした。)、その日、どこに行ったかが克明に記録されていました。タイムラインにはその場所で取った写真も添付されていて、過去の思い出を振り返る、日記替わりでは非常に面白いなと思いましたが、知られて困ることをするときは、携帯を切った方がいいなと戦慄(笑)

また、ISO認証を取得していることが多い中堅以上の企業であれば、情報管理に関する規定があるはずであるから、それがあれば、情報がないという弁解は難しくなるので、情報管理に関する規定も労働時間や業務内容のデータなど業務負荷を直接立証するための資料と併せて証拠保全しておいてはどうかという話がありました。私の様に労働者側専門でやっていると情報管理体制の構築などに直接かかわることがほとんどないのですが、幅広く勉強する必要があるなと思いました(4月6日の話ではありませんが、現在社会保険の未加入の責任を問う裁判で、社会保険の手続きに関する知識が必要になっていますが、これも手続きの細かいところは使用者側特に社会保険労務士ですと日常業務ですが、労働者側弁護士は労災事故や疾病が発生したときに労災申請をすることはありますが社会保険の加入の事務は会社の仕事ですので扱うことはなく、幅広い勉強の必要性を再認識しています。)。

このコラムの監修者

  • 増田 崇弁護士
  • 増田崇法律事務所

    増田 崇弁護士(第二東京弁護士会所属)

    2010年に増田崇法律事務所を設立。労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積み、時には講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもある。2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%である。