退職勧奨に関する相談が急増しています

当事務所では、精神疾患が関連する業務が過半を占めておりますが、これは労災関連の仕事は他の事件類型よりも時間がかかることによるもので(手間がかかる分1件当たりの報酬も通常の事件よりも多いです。)、解雇や残業代などの一般的な労働問題のご依頼も多数あり、件数ベースですと、むしろ精神疾患や労災以外の労働問題の案件の方が以前からずっと多い状況です。

これまでは、解雇が最も多く、次に残業代という状況だったのですが、今年になってから、外資系の企業から退職勧奨を受けているとのご依頼が大変多くなりました。

原因はよくわかりませんが、たまたま紹介が紹介を呼んだというのは一つありますが、景気の曲がり角なのかもしれないと思っていますが、退職勧奨を受けた場合には、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。以下、理由についてご説明します。

退職勧奨への対応を弁護士に委任するメリット

会社側から見た退職勧奨のノウハウとは、どうやって本人の気持ちを削ぐか、これにつきます。人事はそのためのノウハウを蓄積しています。

働くということは、単に生活の糧を得るというだけのものではなく、生きることそのものといっても過言ではありません。労働者は退職勧奨を受ければ、自分の人生を否定されたような気持になります。そのような絶望状態に陥るのは当然の反応ですが、会社側から見れば、そのような状態こそ、漬け込むすきなのです。在職してもデメリットしかないことを示す(法的には無理なことを言っていることも少なくないのですが)、絶望の底にいる本人のプライドをくすぐる発言をする、若干の譲歩をするなど、飴とむちを巧みに使い分けて退職に導くと言うのが人事の腕の見せ所です。彼らは、そのような交渉にかけては百戦錬磨のプロです。

弁護士に委任すれば、会社は本人と直接交渉することができなくなります。先ほどいった人事のテクニックは弱っている本人の心の隙に付け込むテクニックであり、弁護士には通用しません。弁護士は会社の主張するムチがどの程度現実的かを見極められますし、なにより退職勧奨されている本人ではなく、第三者として関わっているだけですので、絶望的な状況に陥いるなどということはあり得ないからです。弁護士は第三者としてメリットとデメリットを冷静に見極めて交渉を進めます。これは、第三者だからこそできることです。

弁護士が入ることで、多くの事例で、会社は本人が交渉するよりも大きな譲歩をしてきます。

 

 

このコラムの監修者

  • 増田 崇弁護士
  • 増田崇法律事務所

    増田 崇弁護士(第二東京弁護士会所属)

    2010年に増田崇法律事務所を設立。労働事件の専門家の団体である労働弁護団や過労死弁護団等で研鑽を積み、時には講師等として労働事件の専門家を相手にして発表することもある。2019年の民事事件の新規受任事件に占める労働事件の割合は100%である。