アディーレ法律事務所の業務停止についてご相談承っております。

昨日、東京弁護士会が、アディーレー法律事務所に対して、2か月間の業務停止としました。

アディーレ法律事務所などの大量に広告を行い、主に個人を相手とした法律事務所(弁護士業界では「カタカナ系事務所」などと呼ばれていました。もとより、カタカナの名称の法律事務所の全てが問題なわけではなく、むしろしっかりとした事件処理をしている事務所がほとんどだと思います。)に関しては、依頼者の意思を十分に確認しない対応をしている、弁護士と連絡がつかないなどの事件処理のずさんさをめぐって苦情があり、かねてから弁護士業界内では問題となっていました。

私はかかる事態をかねてから、憂慮しており、弁護過誤訴訟等を含めて、業界の浄化を勧める活動してまいりました。

今回、業務停止に伴い、アディーレ法律事務所に労働事件を依頼していた方の相談を承っております。

なお、当事務所では、同様の呼びかけをしている事務所のように、アディーレに依頼している事件のみの相談ではなく、ご希望があれば、アディーレ法律事務所等の事件処理の問題点についてご相談を受けております。

なお、当事務所では労働事件の相談は基本的に無料ですが、労働事件の相談を伴わない弁護過誤のみの相談の場合は、30分5000円の相談料を頂戴しております。予約の際の5分程度の電話無料相談で相談料をお願いするかはご案内しております。

 

 

 

セクハラに許容限度などない?

今年(平成28年)の1月15日号のセクハラ、パワハラの座談会で木下潮音先生生(経営法曹の有名弁護士)がL館事件(卑猥な言動等により停職30日等の処分を有効とした最高裁判例)について面白いことを言っていました。

「この事件の加害者は2人とも女性労働者に対して、いわゆる男女女間の恋愛感情などがあってこのような言動をしたわけではありません。セクハラについては痴話げんかとか、要するに個人的な感情だということをいう方がいますけれども、それはやはり誤った見方だと思います。セクハラは女性差別であるということを明確に考えていただきたいと思います。」

セクハラにはいくつかパターンがありますが(痴話げんか的なものもあると思う)、差別とか蔑視といえるものについて受忍限度論的な考え方はなじまないのかもしれません。

衰退産業から成長産業への労働者の移動にリストラ部屋は必要か

安倍政権の政策目標の一つが、衰退産業から成長産業への労働者の移動です。

スローガン自体は間違っていないと思っています。

日本の高度経済成長は、生産性が低く、給料水準も低い、田舎の農林水産業から、都会の工業やサービス業に人材が移動していくことで、実現しました。

高度経済成長期に大規模な労働者の移動が生じましたが、これは政策的に無理やり都会に追い出したというわけではありません(工業を支えるためのダム建設など局所的な例外はありますが)。高い賃金に惹かれて若者のが農村を捨てて都会にある意味勝手に移動したということです。

政府は無理やり追い出すようなことをしていないばかりか、農林水産業や田舎の自治体に多額の資金援助をし続けて下支えしていました。

生身の人間はすぐに全く違う仕事をするなんて非現実的ですから、衰退する産業に従事している人の痛みをどう緩和していくかが政府の一般的な役割であり、程度問題はありますが、世界中で行われている基本に忠実な政策と言っていいでしょう。

さて、高度経済成長期と比較すれば、安倍政権のスローガンが嘘八百やであることに気づかないでしょうか?

本当に生産性の高い産業であれば、高い給料を支払えるはずですし、労働者の退職を制限することは法律上認められていませんので、好条件を示せば勝手に労働者は移動していきます。無理やり追い出す必要などないのです。

そして、政府の役割は先ほど書いたように、様々な事情から移れない人への痛みを緩和することです。しかし、安倍政権のやっていることは、長年従事した職を奪いこれまでの経験がいかせず賃金も低い仕事への移動であり、いわば地獄に無理やり突き落とすものであり全くベクトルが異なるのです。

労働者の生活を長期間保障した上で職業訓練を行えるようにするなど、転身を応援するのは必要な政策です。しかし、無理やり追い出すようなことは、本当に成長産業への移動であれば、行う必要などまったくないのです。

何が誤魔かしかと言えば、成長産業などまやかしなのです。特に、介護が成長産業だなどと主張していますが、介護は自己負担で費用を払える層など限定されており、大多数のそれ程裕福ではない層は介護保険等の給付がどれだけなされるかによってサービスの量を変えているのであり、公的資金に依存したものにすぎません。このようなものを成長産業などと称揚するのが笑止千万であることは明らかです。

結局のところ、成長産業への労働移動のスローガンは、IT化などで余剰となった人材を切り捨て、労働者に一方的に痛みを押し付けて資本家層の利益を最大化を図るための方便に過ぎないのです。

 

最低賃金を3割上昇させたらどうなるか?

最低賃金を3割アップしたら、吉野家はどうなるか試算してみる。

まず、吉野家のようなファーストフードの人件費率はだいたい20%~25%程度。
吉野家の時給は最賃とは限りませんが、最賃が上がったら仕事がきつい分の上乗せをしなければ人が集まらないでしょうから、人件費は3割はあがるでしょう。

吉野家の牛丼の並が380円で、人件費率が20%とするとこれまでの人件費は一杯当り76円が30%アップして98.8円に上昇します。全額価格に転嫁すると約410円になります。

人間はその構造上食費が多少上がっても、食べる量は変わりません。厳密にいえば、日本にも食費に困る層は存在していて、食料品の値段が上がったので食べる量を抑えてという方は現実にいますが、そのような人はむしろ最低賃金上昇の恩恵を受ける層ですので、影響は相殺されるはずです。

そして、通常の材料費の高騰の影響による値上げ(例えば、コメや牛肉が高騰した)であれば、そばとかハンバーガーとか別の食材がメインのファーストフードに客が逃げるということはあるでしょう。通常の場合、牛丼の30円の値上げというのは壊滅的とはまではいえないでしょうが、私が吉野家の経営者なら真剣に悩む決断です。

しかし、最賃の値上げに伴う値上げの場合には他のファーストフードも同様の値上げをせざるを得ませんので、他の外食との相対比較では競争力は変わりません。他の外食に逃げるという心配はあまりありません。

また、弁当等の中食に逃げるというのも、惣菜の人件費率は30%程度ですし、吉野家の場合コンビニの弁当と価格帯はあまり変わりませんので、中食との比較でも競争力が落ちるわけでもありません。

考えられる消費者の選択肢は自宅での自炊でしょうが、吉野家の牛丼と同じレベルのものを自宅で同じ値段で作るのははっきりいって無理です。また、貧困層でも外に働きに行けば今までよりも稼ぐのがはるかに容易になっている社会でわざわざ数十円の金のために自炊を始める人は無視できる程度の数にしかならないでしょう。

そうすると、吉野家の客数が最低賃金のコスト上昇による値上げによって落ちるということはあまりなさそうです。それ程、大きな混乱なく価格転嫁できるのではないでしょうか。

もっとも、経営者は省力化・効率化によってコストアップを抑えるよう企業努力する結果、雇用が減るのではないかという疑問はあり得ると思います(最賃の反対論の根拠はここにあります。)。しかし、今の牛丼屋って、歩く歩数まで計算して設計して徹底的に効率化が考え抜かれていますので、どこを省力化するというのでしょうか?

敢えて、あげれば食券機の導入ですが、吉野家の場合、食券機をあえて導入しないで接客を大事にするというのをポリシーとしてきました。牛丼の値段はこれまで社会状況の変化で100円以上の幅で上下してきましたが、変化させなかった点です。数十円程度のコストアップで変える可能性は高くないと思われます。

過労死防止対策推進法成立に際して,私の弁護士観など

先週,過労死防止対策推進法が成立しました。

私も過労死防止法の制定運動の実行委員会の事務局(末席程度ですが)の一員として活動し,署名活動などはもとより,昨年の法案提出に際しては,1週間近く国会に詰めて議員への要請活動を行うなど,制定に尽力しました。

過労死防止法の制定活動は過労死で家族を亡くされた遺族の方が中心の活動であり,特に推進団体がある活動ではありません。私も当然ながら,手弁当で活動を行っていました。

では,なぜ私はこのような活動に参加するのでしょうか。

社会の中では,法律や行政指導,業界団体の自主規制等の既存制度では上手く処理できない問題が次々と発生します。そのような問題は個別救済を求めてまず,司法の場に集まってくるのです。

そして,このような被害者の声を集約し,社会全体の問題として問題提起していくのは誰がやるべきなのでしょうか?

一番大事なのは当事者です。今回の運動も立役者は夫・息子を亡くした遺族です(お名前を記しますと寺西,西垣,中原さんの3名が中心となって尽力されました。)。

しかし,優先して取組むべき問題を選別し,法案を作り,運動の経験を凝集しetc・・・といった様々な課題はサポートがなければ運動は進められません。そして,そのような活動を行える,被害者の側にいて,問題の状況はもとより,運動の技術的な情報などのサポートが行え,しかも自由に動くことができ,それなりの人材の層がある職業というと限られてきます。弁護士に期待される役割は大きいと思います。

憲法を引くまでもなく,少数者の人権保障は司法そして弁護士の役割です。

一昔前,貸金業法のいわゆるグレーゾーン金利(私法上は無効だが,刑罰などはなく利息制限法を越える高利の貸し出しが野放しになっていた)の撤廃問題で,サラ金業者は「どうせ過払いで食べている弁護士が本気で法律改正なんかできるわけない」と訳知り顔でうそぶいていたものでした。しかし,結果がどうなったかは誰もが知っていることです。この改正で,弁護士業界は大きな飯の種を失いましたが,改正を推し進めた宇都宮弁護士を始めとした消費者弁護士をこの問題で批判する人など見たことがありません。

私は,自分で育てた分野を自分で葬り去る,これこそが弁護士の理想だと思っています。

過労死防止法は貸金業法の改正とは違い法律をかえればすむという問題ではありませんが,私も貸金業法の改正に取組んだ弁護士と同じで,自分の仕事をなくすために立法活動に取組んでいます。

司法改革の掛け声の中で,弁護士はサービス業であるから競争しろという掛け声がさかんにありました。

私は自分の仕事をなくすために活動しています。明日の飯の種の心配をしているような状況ではとても不可能なことです。弁護士の仕事は需要の拡大などとは正反対の役割が求められているのではないでしょうか。

まず,電話でお問い合わせください。その理由は

弁護士が売っている商品は知識です。ですから,知らない人からの相談が突然電話で来ることについて,無料で相談をするのは筋として違うから,お断りという弁護士も多いです。私は10分程度が限度ですが無料で相談していただいて構いません,遠慮なくお電話ください。と言いますか,むしろ,面談の前にまず,ご一報お電話ください。

お電話をお願いする理由は次のようなものです。

まず,電話の後に面談するにしても,事前にご連絡いただければ,持ってきていただきたい書類を自宅においてきてしまったという事態を防げます。持ってきて欲しい書類が揃っているのと,揃っていないのでは行えるアドバイスが全く変わってきます。相談を効率的に進めることができます。

また,簡単なアドバイスで解決する問題や,法的な解決になじまないことが明白な事案であれば,前もって電話していただければその段階で相談は終了します。お互いにわざわざ時間を作ってということをせずに済みます。この場合私はただ働きになってしまいますが,数分程度の相談であれば,皆様の悩みにお力になれたという満足感が報酬ということで私は構いません。

電話をお願いするのは,このように,面談して本格的に法的手続きを検討していくような案件か否かの区分けと,面談を充実させるための準備として行うものです。弁護士は裁判所や関係者との打ち合わせや締め切りが迫った書類の作成で多忙を極めているのが通常です。暇をもてあましているということはほぼありません。そのため,突然の電話で話を聞けるのは10分程度が限界でゆっくりとあなたの言いたいことを聞くということは不可能であることはご理解ください(正式に依頼されている場合は勿論別です。)。

 

残業代不払い法案と過労死の関係

時間と賃金の関係を断ち成果に応じて賃金を支払うことでライフワークバランスの向上が図れると経済産業省は言っています。

しかし、合法か否かはともかくとして、現実として、時間と賃金の関係が断ち切られた給料体制を強いている会社は今でもまったく珍しくありません。 例えば、給料の一部を固定残業代を支払って、いくら働いてもそれ以上は一文も支払わないなんて会社はよくあります。また、一定時間以上の残業の申請は実際に残業していても認められずサービス残業を強いられる会社など珍しくもありません。

そして、私が過労死や精神疾患の労災申請を行う事例で、タイムカードなどで、きっちり時間を管理した上で、残業代をしっかり全額支払っている会社なんて見たことがありません。

現に過労死問題を起こしているのは、時間と賃金の関係が断ち切られている会社なのです。 今の法改正の議論は日本全体をブラック化するものです。

最近の裁判官からときどき聞く言葉

ここ,1,2年の間に,単独事件で裁判官と協議していて

裁判所の示した見解に私が反論すると

「合議した結論ですから」

と言って,話を打ち切ろうとされるということが数回ありました。

 

裁判所は最高裁を除いてどんな大事件でも3人で決めます。裁判所の所長や最高裁に決済を得る必要はありません。わずか3人で再協議するだけの話ですから(数万人の組織なら一度決まったことは簡単に動かせないというのも分かりますが),私の話をしっかり聞いて,再検討すればいいだけの話で(結論が変わるかはともかくとして)何の理屈にもなってないだろと思いますが,まあ合議事件は他の裁判官と協議しなければならないのは事実なので百歩譲ってよしとしましょう。

 

しかし,単独事件でそれはないでしょ。

憲法をひくまでもなく,裁判官は法と良心のみに従い独立して職権を行使すべき立場です。単独事件ならその裁判官が自分の考えに従って判断するだけで,他の裁判官は口出しする権利は一切ないのです。

判断に迷った際に同僚などと議論し参考とするのは(あくまで参考にとどめることが前提)軽率な判断を防止することにもなり当事者にとっても有用で,否定されるようなものではありません。

しかし,同僚との議論の結果,法的判断を行う実質的な根拠が見つかり,根拠に基づき説得するのなら分かりますが,単に「部長(合議事件をやるときの裁判長)も左(合議事件で一番若輩の裁判官)もそういってるんですよー」とドヤ顔をしながら言われても・・・プライドはないのでしょうか?

 

 

労働審判に事前交渉は必要か

労働審判についての裁判所との協議会で問題のある弁護士として、事前交渉をせずに申し立てをする弁護士というのが挙がっていたという話題がある会議で出ました。

事前交渉しない弁護士って私のことですね・・・書記官から事前交渉状況について問い合わせられたことが何度かあります。

確かに、労働審判規則9条1項3号には交渉その他の申し立てに至る経緯を記載しなければならないと記載されています。私も解雇(解雇以外では私はあまり労働審判は使いません。)に至る経緯は必ず書きますが、受任してからの交渉はそもそもせずに申し立てることの方が多いので、交渉していなければ特に記載せずに申し立てています。

しかし、規則にも交渉を含めた経緯を書けと言っているだけで、事前交渉をしろとは書かれていないよね。

そもそも、解雇通知というのは絶縁状みたいなものです。
絶縁状を送りつけてきた人間と何を話し合うのでしょうか?
労働法を守ろうという意識が皆無に近い多くの中小企業と、国家権力を背景にした裁判所の外で交渉しても、裁判所での交渉よりはるかに低い水準の回答しか得られないことがほとんどです。はっきり言って時間の無駄となることがほとんどです。

私が、事前交渉するのは労働審判より低い水準で良いので、裁判沙汰にはしたくないと積極的に依頼者が望んでいて、しかも使用者側が話し合いの姿勢がうかがわれるときのみです。

そもそも、どのタイミングで裁判や調停を起こすかは原告側の自由ですよね。
もちろん、債務不存在確認訴訟などが口封じのために濫用されているのではと考えさせられる事案もなくはなく、原則論だけの議論では意味がないと思いますが、
解雇事件の場合は使用者側から解雇通知(労働者は下手をすると本当に路頭に迷いかねない)を送りつけるというサンクションを起こしているのですから、当然、解雇の正当性を準備して行うべきで、いつ訴訟提起されたとしても覚悟すべきでしょう(実際、顧問弁護士がいる企業なら顧問に相談してから解雇するのが通常でしょう。)。

とすると、なんで文句言われなければならないのでしょうか?

残業代不払法案は過労死促進法である

従業員の仕事を把握し,業務の進め方に不効率な点がないかを確認し,改善方法を検討し,残業代の抑制(経費の節減)を図るのが経営者や管理職の役割です(当然私も一経営者として行っています。)。
経営者は,残業させると,通常より高額な残業代を支払わなければならないという,法制度があるからこそ,仕事の効率化を一生懸命考えるわけです。
効率的な働き方などを掲げて,残業代を削減する法案がゾンビのように出てきますが,むしろ割増率をあげるべきでしょ。

残業代がつかなければ労働者は確かにさっさと返りたいという気持ちになるかもしれませんが,そもそも労働契約は使用者の指揮命令に服するという契約です(法的にも実際にも)。使用者に夜中まで働けといわれれば(夜中まで働かなければこなせない仕事を課すというやり方の方が一般的かもしれませんが,同じことです。)労働者は帰れません。使用者側が使い放題で労働時間削減のインセンティブがないのでは,死ぬまでこき使うということになるに決まっています。
また、労働者や労働組合が同意していれば良いのではないかという内容で法整備がなされていますが、愛情を持って殴るなどというワタミの社長のような人物に迫られて断り切れるような人間は少数派です。このような法案を通せば、日本社会は確実に破壊されてしまいます