徐々に、仕事が忙しくなり、不眠などの症状が出始めていたがICD10の診断基準を満たすほどではなく、そのまま働き続けて、急激に仕事が忙しくなり、その後に病院に通院し精神疾患と発症し休職した。最初の不眠等の症状が出た段階だと、およそ労災の基準を満たさないという場合がよくありますが、この場合発症時期はいつになるのでしょうか?

精神疾患は、診断基準を満たさない軽い症状から始まり、徐々に症状が悪化し、診断基準を満たすようになるという経過をたどりますが(急激に悪化する場合はこれに当てはまらないこともあります。)、

労災の認定基準では「対象疾病の発病の有無、発症時期及び疾患名」はICD10の診断基準に基づいて行うと明示的に示していますので、軽い症状が出た段階ではなく、診断基準を満たす程度まで症状が悪化した段階が発症時期となります。

なお、精神疾患の発症時期の診断は容易ではないし、過重労働が認められる場合には過重労働によって発症したと考えるのが合理的であるため、認定基準は「なお、強い心理的負荷と認められる出来事の前と後の両方に発病の兆候と理 解し得る言動があるものの、どの段階で診断基準を満たしたのかの特定が困難 な場合には、出来事の後に発病したものと取り扱う。 」としています。

また、この点については、長崎労基署事件(長崎地判平成27年3月2日)でも診断基準を満たしたときとする旨判示されています。